長期にわたる低金利で、多少余裕のある富裕層は不動産、特にマンション投資に目を向けている人が多いです。
何故ならば、不動産収入で満室想定年利回り10%程度ならばいくつも対象物件があり普通に銀行に定期預金でお金を預ける何十倍ものリターンが得られるからです。
しかし、本当に10%程度の利回りが得られるのでしょうか?
リスクはないのでしょうか?
この点を検証していきます。
なぜ投資対象のマンションは満室想定利回りで比較されるのか?
よく、不動産情報誌等に掲載されている投資用マンションは満室想定利回りで表示されています。
満室想定利回りとは、その投資用マンションが100%の収入を得た場合に得られる利回りです。
年間の満室家賃収入が1,000万円の建物が1億円で売られていたら年利回り10%ですね。
非常に、高利回りのマンションの様に見えます。
しかしここで、見たいのは
1.満室になっているのかどうか?常日頃空室が多くないかどうか?
現時点で、半分が空室ならばあっという間に利回り5%程度まで下がってしまいます。
あくまでも満室想定の為、実際の入居率は年間どの程度なのかは前もって知っておきたいですね。
2.運営費は何%なのか?
マンション経営には年間20%~30%の運営費がかかると言われています。
運営費を引くとそれだけで満室想定利回りの利回りは望めません。
運営費がどれくらいかかるのかも前もって把握しておかなければなりません。
この様にマンションは必ず空室は出ますし運営費がかかりますので満室想定利回りは絵に描いたもちであり、満室想定利回りの利回りは得られないというのが分かります。
ではなぜ、マンション投資物件は満室想定利回りでの表示をしているのでしょうか?
これは、単純に見栄えが良いからではないかと考えます。
すごく高利回りに見えますので、投資家の目を引くというのが一番の理由です。
マンションの投資家は満室想定利回りから支出部分などをしっかり理解して投資する事が賢明です。
具体的な入居率を調べる方法~個別物件の入居率の調べ方
入居率を把握しておきましょうと述べましたが、入居率はどのような方法で手に入れれば良いのでしょうか?
まずは売却の募集をしている不動産会社に訪ねる事です。
入居率は購入における一つの判断材料ですし、不動産会社も入居率は把握しています。
もし把握していなかったら、最低限の数字も把握していないという事になりますから購入自体を見直した方が良いでしょう。
併せて、レントロールという資料も取り寄せましょう。
レントロールには各部屋の入居者名、家賃、契約日が記載されています。
契約日を見れば、年間の退去数や空室状況が分かります。
上記の方法で入居率は把握できます。
運営費にかかる費用は何?
運営費が20%~30%程度かかると述べていますが、どのような項目があるのでしょうか。
- 共用の電気代、水道代
- 共用部分の清掃費用
- エレベータや消防設備の点検費用
- 固定資産税
等が入ります。
減価償却や所得税などは含まれません。
この様な費用が運営費と呼ばれるものですが、投資を成功させる一つとして運営費用を減らすという手段もあります.
しかしながら、基本的にやらなければならないものにかかる費用ですので極力避ける方がよろしいでしょう。
投資家が判断する指標がNOI利回りであるべき理由
そこで注目されているのがNOI利回りという指標です。
NOIとはNet Operating Incomeの事で営業利益と言われています。
例えば先程の年間の満室家賃収入が1,000万円の建物が1億円で売られていたとします。
年間の入居率が95.0%で運営費が2,00万円(20%)かかったと仮定すると営業利益は
1000万円×95.0%―運営費(200万円)=750万円
となりこれが営業利益となります。
これで計算すると750万÷1億円×100=7.5%となり
NOI利回りは7.5%となります。
これがより現実的なマンション投資の利回りです。
成功の第一歩はNOI利回りにあり
投資家がより具体的な利回りを把握するには満室想定利回りよりもNOI利回りで判断する事が良いでしょう。
上記のマンションで比較すると満室想定利回りとNOI利回りでは年間250万円の違いがあり10年スパンでは2,500万円もの相違が出ます。
もしも満室想定利回りだけで判断すれば大きく収支がくるってきます。
当初の情報では満室想定利回りでの表記がほとんどですので、その後詳しく聞き取って計算し、NOI利回りを自分なりに算出する事が必要です。より、現実的な指標で判断する事は投資家にとって成功への第一歩と言えます。
NOI利回りの落とし穴
NOIはあくまでも現在の営業利益であり、未来を表すものではありません。
苦い経験として、ある物件でNOI利回りが良く購入した投資家のお手伝いをしていましたが、購入後、退去した部屋の家賃を20%程下げないと部屋が決まらないという事が分かり大きく計算が狂った事がありました。
レントロールという各部屋の入居者名、家賃、契約日が記載されている資料を見ると、最近入居した人と5年前に入居した人の家賃に20%以上開きがあった事が判明しました。
つまり、建物の老朽化や近くに新しいマンションが建った等の理由により、5年前より20%程家賃を下げないと空室が決まらないという現実を見逃していたが為に計算が狂った事になります。
あくまでもNOIは現時点での営業利益ですがマンション投資は長い期間の利益の安定が必要ですので、NOI利回り以外の視点から分析する事も重要です。
投資を成功させる確立を高めるには
ある外国の高名な不動産協会の会長が話していたことがあります。
「マンション投資に最も重要なのは“場所”です。 第2に重要なのは“場所” 第3に重要なのは“場所”」
つまり何をおいても場所を最優先に考えろという事です。
交通の便が良かったり、入居者のニーズに合った施設が近くにあったり(単身者ならコンビニやファストフード店)等、
場所の立地が良ければある程度入居は見込めるし、建物が老朽化しても家賃の減額幅も大きくはないという事も言えます。
立地に優位性があると思われる場所に建っているマンションが売りに出されていたら一考の余地ありです。
併せて、マンション投資に詳しいパートナーの存在は非常に心強く安心感があります。
例えば資産運用を任せるに値するような不動産会社や税理士さん等をパートナーに見つけられればマンション投資の成功確率は大きく高まるでしょう。